ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


教室に俺たちは一緒に入る。
いつものように悠馬と一樹に挨拶をすると、ふたりは俺たちを見るなり、示し合わせたようにパチパチと手を叩いた。

「「カップル成立おめでとー!」」

高らかに響き渡る祝福の声。
クラスの視線が一斉に俺たちに突き刺さる。

「ちげぇって!」

違くねぇけど!

「だってめちゃくちゃイチャイチャしてるじゃん」
「そうじゃねぇって」

俺が必死に否定する横で、碧斗は俺にひっついたまま、さらりと「ありがとう」と告げた。

「おい碧斗!?」

でもまぁ……こいつらのお陰で仲直りできたようなもんだしな……。
お礼は言わないとだよな。

「あのさ……無事仲直り、したつーか。その……」

頭をかきながらもそう告げると、悠馬と一樹は顔を見合わせてふっと表情を和らげた。

「わかってるよ」
「お前らはやっぱり一緒にいないとな!」

悠馬が、ぽんと俺の頭に手を置いた。

「へへ、ありがとな」

悠馬と一樹の言葉がなかったら、俺はいつまでもウジウジして前に進めなかっただろう。

これで一件落着だ。

そんなこんなでさほどいつもと変わらない1日を過ごした。