ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


翌朝、俺と碧斗はいつも通り一緒に登校した。
昨日の夜、路地裏で起きたことがウソみたいに、いつも通りの朝を迎えた。

碧斗が迎えに来て、他愛もない話をしながら学校までの道を歩く。
でも俺たち、今度は本気で付き合い出したんだよな……。
ってことは俺に初めての彼氏が出来たってわけか……。

なんだか不思議な気分だ。
友達でもあり、恋人でもあるって。

なんて思っていたのだが……。

「おい、碧斗」
「ん?」

「これはなんだよ」

後ろから俺を包み込み、俺の肩に自分のアゴをこてんと乗せる碧斗。

「なにが?」
「なにがじゃねぇだろ。この引っ付き具合はなんだ!?」

「だって凪が今まで通りくっついていいって言うから……」

たしかに言ったけど……。
前よりも過剰になるとは思わねぇだろ!

「明らかに前よりべたべたしてんじゃねぇか!」

俺は背中にひっついた碧斗を剥がそうともがく。

しかし碧斗はさらりと言った。

「そうかな?」

いやいやそうだろ。

「ここまでOKとは言ってねぇぞ!」