「まぁ……無かったことにしなくてもいいし、頑張らなくてもいいじゃね?」
「えっ」
「その……元に戻るってことで」
なんで俺がこんなことを言っているのか自分でも分からない。
でもなんか案外付き合ってみるのでも悪くねぇかもって思っちまったんだ。
「元に戻るって別れる前に?」
「うん」
「付き合うってことだよ、それ」
「分かってるよ」
確認すんな!
改めて言われると恥ずかしいだろうが!
俺の言葉に碧斗は戸惑った顔を浮かべた。
「なんでお前がそんな顔するんだよ」
「だって……絶対フラれると思ってたから……」
まぁ俺自身もこうなるとは思ってなかったけどな。
「その……今度はノリで付き合うとかじゃねぇから……ちゃんとお前と向き合うつもりだ。そんで……っ、気持ちがハッキリしたら、俺も……ちゃんと伝える。それで、いいなら……」
こっぱずかしくて、だんだん声が小さくなってくる。
しかし、碧斗にはしっかり届いたようで彼は嬉しそうに笑った。
「本当に……いいの?」
「いいって言ってんだろ」
俺はぶっきらぼうに返した。


