「俺は男が男をとか……そんなことどうだっていい!今は碧斗の話をしてるんだ。ずっと俺のこと思ってくれてたのに……一番近くにいたのに、碧斗が嫌がることして傷つけちまった。本当に、ごめん」
俺は深く頭を下げた。
碧斗が唯一これだけを嫌がったのは、利用された過去があるから。
利用されていただけで本当に自分は必要とされていないって分かってしまった時、碧斗はひどく傷ついただろう。
だからしっかり言わないといけない。
「俺は……あんなことしちまったけど、一度も碧斗と一緒にいると得になるからとか、女子に声かけてもらえるからとか思ったことねぇから」
「本当に?」
消え入りそうな声だった。
「ああ、本当だ。俺はお前といるのが楽しくているし、くだらないことで笑い合える時間が好きだ」
碧斗の瞳が大きく揺らぐ。
こわばっていた肩の力がふっと抜けたようだった。
「だから……俺の知らない碧斗にならないでくれ……。目の前から碧斗がいなくなるのは嫌なんだ」
昔のような碧斗に戻ってほしくない。
俺の知ってる優しくてかっこいい碧斗でいてほしい。
うつむいたままの俺に、碧斗の静かな声が降ってくる。


