その顔は、泣き出しそうなのに無理やり笑顔を作っている。
違う。
俺が見たかったのはそんな顔じゃない。
「碧斗……謝るのは俺の方だ」
震える声で告げると、俺は一歩だけ彼との距離を詰めた。
「俺、聞いたんだ……悠馬と、一樹から」
「……っ」
碧斗の肩が強張る。
「お前が俺を思ってしてくれてたことがたくさんあること……俺、ずっと分からなくて」
あんなに近くにいたのに何も見ていなかった。
すると碧斗は力なく首を振って視線を逸らす。
「分かるわけないよ。男が男を好きなんて理解できなくて当然だ」
「そういう話をしてるんじゃない!」
俺が声を張り上げると、碧斗が驚いたように目を見開いた。
普通じゃないとか、俺は別世界の人間だとか……そうやって自分をのけ者にして欲しくない。
だって碧斗は碧斗だろ?
俺の見ている碧斗はしっかりもので優しくて、包み込んでくれる温かさを持ってる。
自分だけみんなと違うなんて言わないでくれ……。


