ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


俺は碧斗の胸倉を強く掴んだ。
あいつが勝手に引いた境界線を壊したかった。

「勝手に住む世界が違うとか言ってんじゃねぇよ!じゃあお前は……俺たちと過ごしてきた時間はなんだと思ってんだよ」

違う世界の人間だからと思って一緒にいたのか?
どうせ仲良くはなれないしなって心で思ってたのか?

そうじゃねぇだろ!

「俺は……お前といたいから一緒にいる。最初からずっとそう伝えてるだろ!」

叫ぶように碧斗に伝えた。
けれど碧斗は自嘲気味に笑った。

「凪は……優しいから。そうやって言ってくれる。だから俺は勘違いしたんだ」

碧斗は自分の手をだらんと下げた。

「勘違いして、好きになった……一番好きになってはいけない相手を」

苦しげに言葉を紡ぐ。
その苦しみがこっちにも伝わってくるようだった。

碧斗……。

「……ごめん、凪のこと好きになって」