翌朝──。
チャイムの音がして母親に出るようにと告げられる。
気だるく玄関を開けると、そこには碧斗が立っていた。
制服姿のまま、髪はいつも通りさらりと整っていて、立ち姿も無駄がなく整っている。
相変わらずイケメンだな、コイツ……。
なんで朝からそんなに爽やかになれる?
……ってそうじゃなくて。
「え、なに……?」
まだ寝ぼけたままの頭で、状況がうまく理解できない。
……なんで碧斗がここにいるんだ?
いつもはそれぞれに学校に向かって、途中で会ったら一緒に行くって流れだった。
「迎えに来た」
「いや、見ればわかるけど。なんで?」
もう一度聞き返すと、碧斗はまっすぐ俺の目を見てさらっと答えた。
「うーん、一緒に行きたいし、彼氏だから?」
「はぁ?」
とは思ったものの。
昨日の会話を思い出す。
『俺たち付き合うわ』
あー、はいはい。昨日のやつがまだ続いてんのね。
なんとなく理解できた。
碧斗もこういうのにノってくるのはめずらしいけど、相当ハマったのか?
碧斗は俺らの誰よりも大人びていて、こういう冗談にも入らず外の方で眺めているタイプだ。


