ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


ひとり残された部屋で、俺は静かに考えた。

どうしようもなかった疑問の答えが、今すべて目の前に突きつけられた。
あいつの過剰な優しさも、なにをされても怒らなかった態度も、全部。
俺のことが好きだったから……。

ずっと俺を思ってくれてたのか。
本気の視線を俺にぶつけてくれていたのか……。

「……碧斗」

あいつに会いたい。
いてもたってもいられなくなり、俺は財布とスマホだけを掴んで玄関を飛び出した。

なにを言うかなんて決まってない。
謝って許されるなんて思ってない。

でも、とにかくあいつに会わなければ。

薄暗くなってきた道を走りながら、震える指で碧斗に電話をかける。

頼む、出てくれ。
何度がコール音が鳴る。

その時、プツッと音がして電話が繋がった。

『……もしもし』

碧斗が出た。

「碧斗か!?俺だ!」

思わず叫ぶように言うと、電話の向こうから温度のない声が返ってきた。