「……っ」 ──ドンッ! 背中が冷たいコンクリートの壁にぶつかる。 逃げ場がなくなった俺の顔の横に隼人の手が叩きつけられた。 「……あのさ」 そして低く這うような声が耳元で響く。 「俺の気持ち知ってて振り回すのは違うだろ」 ──ドクン。 はじめて聞いた隼人の低い声。 今までこんなに怒ったところを俺は見たことがない。 心臓がバクバクと音を立てる。 「好きじゃないならちゃんとフってよ。保留にされて、中途半端に期待させられて……いつまでも待てるほど俺、大人じゃないから」