俺の中でちょっと焦った気持ちがあり、俺は空気を変えるためにカバンから隼人に買ったクッキーの箱を取り出した。
「……ほら、これ。今までのお礼っていうの?買ってきたから食えば?」
本気で渡すとキモくなりそうだからあくまでもライトに隼人に渡す。
すると隼人は、俺の手にあるものを一瞥してハッキリと告げた。
「いらない」
温度のない声に差し出した手が空中で止まる。
「は……?」
俺は隼人の顔を見た。
「友達から聞いた。陽が女の子と手を組んでどこかに行ってたって。どうせケーキ食べたついでに買ってきただけでしょ?そんなのいらない」
コイツ……!ケンカ売ってんのか!
これは!お前のために!わざわざ!買ったものだぞ!?
それをいらないだなんて……さすがに怒るぞ!
「あーそう、じゃあ俺がひとりで食べるんで結構ですよ!お前になんかあげねぇから!つーかなにイライラしてんだか?付き合ってもないのに彼氏素振りですかー?」
俺がわざとらしくそう問いかけると、隼人の表情が変わった。
あ、やべ……。
さすがにこれは、いいすぎたかも。
隼人の目が鋭く俺を捉える。
ち、違うぞ。
本当はそういうの言いたかったわけじゃなくて……お前がせっかく選んだプレゼント受け取らないから……。
俺がたじろいで一歩下がると、隼人は逃がさないとばかりに一歩踏み込んできた。

