「あのさ、陽……あんまりああいう飲み方はしない方がいいと思う」
「は?」
大した言葉じゃない。
でもその時はなんだか虫の居所が悪くてカチンと来た。
「陽は嫌ってハッキリ言えないタイプだし、流れそうになってるのを見てると正直不安になるんだ」
まるで俺が全然断れなくて、隼人がいないとダメみたいな言い方。
俺にだって断ることも、なんとなく抜けようとすることだって出来る!
「それに、あんな風に女子に囲まれてて……ちょっと嬉しそうな姿とか見たら俺、いい気しないっていうか……」
隼人はいいにくそうに伝える。
嬉しそうな顔してたか!?
俺は全然嬉しくなかったつーの!
それに、どうして隼人にいい気にさせないといけないんだよ!
そんなのおかしいだろ。
「あのさ、勘違いしてるみたいだけど俺たち付き合ってるわけじゃないからな」
売り言葉に買い言葉だった。
でも、口に出した瞬間、その言葉は予想以上に鋭い刃物になって空気を切り裂いた。
「……っ」
隼人の動きがピタリと止まる。
そして静かにこちらを見据えた。
な、なんだよ。
別に間違ったこと言ってるわけじゃないだろ?

