「じゃあ俺たち抜けるんで」
えっ、えっ!?
抜ける!?
隼人は俺の手を掴んで立ち上がらせた。
後ろからは先輩たちの声が聞こえてくる。
「なにあの子超イケメン……」
「うちのサークルの子?」
違うんですけどおおお!!
隼人のやつ……早速話題になってやがる。
つーかどこ行くんだよ!
無言のまま、俺は強引に腕を引かれそのまま店の外へとやってきた。
「……おい、隼人!」
そりゃ助けてくれたのはありがたいけど、なんであそこにいたのかとか説明があってもいいだろ?
さらに先に進む隼人は店の灯りが届かない路地裏でようやく足を止めた。
こんなところまで黙々と歩いてきて……まだ先輩たちに挨拶もしないで出てきちまったんだからよ。
「大丈夫だった?」
隼人は心配そうに俺に尋ねる。
「ああ、まあ……ちょっと強引だったけど。悪い人ではないと思うから……それで、隼人はなんでここにいたんだ?」
「俺もインカレで別の部屋で飲んでたんだ」
「ふぅん」
俺が頭の後ろで手を組みながら言うと、隼人は言う。

