バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?


なんでこうなるんだよ〜泣。

「ほら、これ飲んで愚痴聞いてよ!」

ジョッキを突きつけられる。
これってお酒じゃ……。

「お、俺まだ未成年なんで……」

俺は必死に首を振った。

「硬いこと言わないの。もうすぐ二十歳になるでしょ?」

酔いで据わった目の女先輩が強引に距離を詰めてくる。

「先輩の言うことが聞けないっていうの?」
「だ、だめですってそういうのは……」

やっぱりくるんじゃなかった……。

「いいから飲みなさいよ!」

グラスの縁が唇に触れそうになったその時だ。
女先輩の手首を誰かの大きな手がガシリと掴んだ。

「んえ?」
「未成年に飲ませたらダメですよ」

よく通る声。
振り返ると、そこにいたのは隼人であった。

「は、隼人……?どうしてここに?」

見上げると、見慣れた美貌。
隼人は氷のような視線で先輩を見下ろしている。

「酔いすぎです。それに強要するのはよくないと思いますけど」

「そ、それもそうね……」

先輩は焦ったように俺から距離をとった。

ほっとしたのも束の間、隼人はすぐさま俺の腕を掴んで言う。