俺たちはその足でサークルの飲み会会場である居酒屋へと向かった。
「お疲れーっす!」
個室の襖を開けると、すでに熱気とアルコールの匂いが充満していた。
「お、陽。やっと来たかー!」
先輩が声をかけてくれる。
「桜ちゃんもお疲れ〜! こっち空いてるよ!」
桜ちゃんは仲のいい女子の中に入っていった。
篠原が俺を見つけて手を振る。
「おせーよ陽! もう始まってんぞ」
「悪い悪い」
俺は靴を脱いで上がろうとして、ふと部屋の奥を見て足が止まった。
「……あれ?」
上座の方に見慣れない集団が座っている。
「ああ、今日はOBの先輩たちも来てるんだよ」
篠原が小声で教えてくれた。
「就職した先輩たちが、たまに顔出してくれるんだと。就活の話とか聞けるからって、先輩たちが呼んだみたい」
「へぇ……そうなんだ」
なんかよりによって大規模の飲みに来ちまった〜。
ちょこっと参加して帰るつもりだったのに、ミスった?

