バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?

怒りだけじゃない。
そこには、信じてもらえなかったことへの深い悲しみがあった。

「友達の会話は陽がなにを見たのかは分からない。けど俺は……一度も、陽に対して遊びとか、中途半端な気持ちで付き合ったことはない」

真っ直ぐな言葉が俺の胸に突き刺さる。
隼人の必死な表情。
それがウソをついているようには見えなかった。

「陽の話しをペラペラ友達に話すことだってしないよ、俺は」

俺が思っていた隼人だったら、確かにそんなことはしないだろう。
隼人は思っている以上に自分の話をしないし、友達と一緒にいるように見えてもあまり心を開かないから。

それは、分かる。
でもあの時は……あの時隼人は確かに俺を堕として案外楽勝だったって……。

「……じゃ、じゃあなんで別れようって言ったんだよ。別れを切り出したのは隼人からだろう!?」

「そ、それは……!」

隼人はバツが悪そうに視線を逸らし、ボソリと言った。

「俺はてっきり、キスしたのが嫌だったのかと……」
「……は?」

「だって、キスした次の日から急に陽が俺を避け始めたろ」
「あ……」