「そういう顔も、やめろよ!」
俺の中でなにかが弾けた。
「そうやって期待させて……裏では笑ってるんだろう!?」
俺が声を荒げると、隼人の眉がピクリと動いた。
「どういう、こと……?」
俺が睨みつけると、隼人の眉間に深く皺が寄った。
その、本当に心当たりがないという顔が、俺の神経を逆撫でする。
「お前は覚えていないだろうけどな!俺はずっと……ずっと」
その言葉に囚われてる。
何度も忘れようとした。
人気の隼人と付き合えたんだからラッキーって思えば良くね?とかネタにすればいいよな、とか無理に自分を納得させる言葉を考えてそう思い込むしかなかった。
だからもう……本当は隼人になんか会いたくなかったのに。
今更会って、もう一度好きになって欲しいなんてふざけんな!
「俺、知ってるんだからな!お前が遊びだったこと」
記憶の蓋が開く。
あの冬の教室の光景が昨日のことのように蘇ってくる。
隼人は未だに意味が分からないという顔を浮かべていた。

