俺たちは無言のまま、俺のアパートへ続く道を歩き出した。
賑やかな店内から一転、夜道の静けさが気まずい。
「……おい」
俺は隣を歩く隼人を睨んだ。
「ん?」
「お前なんで、一緒に来るなんて言ったんだよ」
俺が問い詰めると、隼人は悪びれる様子もなく言った。
「篠原くんと仲良くなりたかったって言ったろ?」
「ウソつけ。隼人は誰かと仲良くなりたいって思うキャラじゃないだろ」
俺が文句を言うと、隼人は急に足を止めた。
そして静かに言う。
「……正直言うと、ちょっと妬いた」
「は?」
隼人が俺の方を向き、拗ねた子どものような顔を見せる。
「……なんか、ふたりが仲良さそうだったから」
「なっ……」
「陽が俺以外の男と楽しそうに笑ってるの、なんか嫌だったんだもん」
ボソリと言われた言葉に俺は呆気にとられた。
「はぁ?嫌ってなんだ!友達なんだから仲良くするのは当たり前だろ!」
「分かってるよ。……でも嫌なものは嫌」
俺は大きくため息をついた。
隼人がなにを考えているのか、さっぱり分からない。

