「あ~~食った食った!」

けっきょく替え玉までしてお腹いっぱいになるまで食べてしまった。
ラーメン屋を出ると、夜風が少し強くなっていた。

バイト頑張った後のラーメンはやっぱり染みるな。
俺がそんなことを考えながら歩道を歩いたいた時。

──チリンチリン!!

「っ!?」

背後から猛スピードの自転車が歩道を突っ走ってきた。
なっ……どんなスピードだよ!

避けなくちゃ!
そう思った瞬間、体が強い力で引かれた。

「……っ、わ」

グイッと腕を引いたのは隼人だった。

「……大丈夫か?」

気がつくと、俺は隼人の胸の中に抱き留められていた。

「あ、お、おう……! サンキュ……」

なんか隼人に抱きしめられてるんですけど……!

「悪いな」

俺は隼人から離れようとした。
しかし、隼人の腕は俺の腰を抱いたまま離れない。

「……ちょっ、隼人?もう大丈夫だから」

俺が戸惑って名前を呼ぶと、ふいに首筋に温かいものが触れた。

隼人が俺の肩口に自分の頭を預けてくる。
至近距離で感じるあいつの体温と少し乱れた呼吸。

「隼人、人通りあるし……離れろって」

俺が焦って身じろぎすると、俺の服をぎゅっと握りしめた。