こうしてなんとか今日のバイトが終わった。
「……ふぅ、終わった……」
更衣室を出て、裏口の重いドアを開ける。
夜風が火照った体に心地いい。
俺が伸びをしていると、横にある自販機の取り出し口から、ガコン、と音がした。
「はい」
「え?」
冷たい缶が俺の頬にピタリと当てられる。
「……お疲れ、陽」
隼人がスポーツドリンクを俺に差し出していた。
「あ……サンキュ」
俺はそれを受け取り、プルタブを開けて一気に喉に流し込んだ。
乾いた体に水分が染み渡る。
「……だんだん、陽も早くなってきたね」
隣で同じドリンクを飲みながら隼人がぽつりと言った。
「さっきのオーダー捌くスピード。前より無駄な動きがなくなってる」
「本当か!?」
隼人に追いつくのはまだまだとは思ってだけど、案外俺も成長してるんだな。
このまま完全にひとり立ち出来れば、隼人と一緒に入らなくて済むし……!
よし、この調子で頑張るぞ!
なんて思っていると、隼人はどこか言いにくそうに視線を逸らしながら言った。
「……あのさ。この後……もし時間あるならご飯でもいかない?」

