頭が真っ白になって、店長の声が遠くなる。
(え、なにこれ……ドッキリかなんか?)
心臓が嫌な音を立てている。
よりにもよって、同じバイト先なんてことありえるのか!?
この広い日本だというのに……。
というか、隼人がこっちの方に来ていたことすら知らなかった。
高二で別れて、高三ではクラスが離れ……一切話をしなくなった。
それすら目を合わすことすらなかったもんな。
それで、卒業して……もう二度と会うこともないだろうと思っていたのに。
「広瀬くん? どうかした?」
固まった俺を店長が不思議そうに見ている。
「あ、いえっ! なんでもないです!ひ、広瀬 陽です……よろしくお願いします」
なんとか絞り出した声は、自分でも情けないほどうわずっていた。
それから店長は本社に行かなきゃいけないとかで、俺は隼人とふたりきりで仕事を教わることになった。
隼人が俺を連れて行ったのは、バックヤードのさらに奥。
狭い休憩スペースだった。
フロアのざわつきやBGMが分厚いドアの向こうでくぐもっている。
二人きりの空間で妙に静かで緊張した。

