お、おいおいおい……!
なんで俺が隼人と一緒にやらなきゃなんねぇんだよ!
隼人は俺の方を見て、ふわりと嬉しそうに笑った。
「……よろしくな、陽」
コイツ……!やりやがったな。
しかし、決まってしまったからには、やるしかない。
いざピークタイムが始まると、猛烈に忙しかった。
次々と入るオーダー。鳴り止まないレジの音。
うおお……ついていくのがやっとだ。
「陽、アイスラテ2、ホット1」
「了解」
「その間に俺がフラペチーノ回すから、陽はショット落として」
「はい!」
目の前の作業に必死になる。
あ、やべ……ミルク切れた……。
俺が冷蔵庫に手を伸ばそうと振り返った時、トンと手元に新しいミルクパックが置かれる。
「これ、だろ?」
隼人は俺の方を見ずに、エスプレッソを抽出しながらそれだけ言った。
「あ……サンキュ!」
すげぇ……。
悔しいけど、隼人と入るとめちゃくちゃ仕事がやりやすいんだよな。
俺が何かを言わなくても、欲しいタイミングでそこに置いてくれる。

