そして夕方。
重い足取りでバイト先に向かう。
バックヤードに入ると、隼人はすでに着替えを終えていた。

「……はよ」

気まずい。
隼人はどんな態度で来るんだ?

ちらちらと気にしながらも更衣室に入る。

「おはよう」

しかし、隼人はめちゃくちゃ普通だった。
コイツ……!

いや、なんか意識されてるのもやりずれーけどさ!
全く普通ってなんだよ?
やっぱり俺が遊ばれてただけじゃねぇか!

もう知らねぇ。
隼人のことは考えないことにする。

「よし、じゃあ今日の配置決めるねー」

朝礼の時間。
店長がシフト表を見ながら言った。

「今日は週末でかなり混む予想だから……三上くんは裏をお願いできる?裏方がパンクすると困るし、今日は他の子にレジ経験させたいから」

だが、隼人は間髪入れずに口を開いた。

「いえ。今日は、俺と陽でカウンター回させてください」
「え?」

俺と店長の声が重なる。
隼人は淡々と、しかし有無を言わせない説得力で続けた。

「このメンバーで一番オーダーを捌けるのは俺です。それに、陽となら連携が取れるので、ピーク時の提供スピードを落とさずに回せます。裏方は手が空いた時に俺がフォローするので」

「うーん……まあ、確かに三上くんと広瀬くんのペアなら安心だし……分かった、じゃあ今日はそのペアに任せるか!」

店長は隼人の言葉に折れた。