「俺は……もう一回、チャンスが欲しい」
「……は?」
隼人の瞳には熱宿っていた。
さっきまでの弱気な色は消え、獲物を狙うような鋭い視線が俺を射抜く。
「諦められない……俺、もう一度陽に好きになってもらえるように頑張るから」
隼人は一歩、俺に近づいた。
至近距離で隼人が俺を見下ろす。
なにを言ってるんだ……。
これじゃあ隼人が俺を好きみたいじゃねぇか。
隼人は俺の手首を掴んでいた手を離し、代わりに俺の頬にそっと触れた。
……なんなんだよ、これ。
俺の頭の中はパニックだった。
高校の時のウワサが頭をよぎる。
また俺を見つけて遊ぼうとしているのか?
そう疑おうとするのに、目の前の隼人の目は、怖いくらいに真剣で……触れられた頬の熱さが俺の心臓をどうしようもなく揺さぶっていた。
「……か、勝手にしろよ!」
俺は真っ赤な顔で隼人の手を振り払うと、荷物を掴んで逃げるように玄関へと走った。

