『ごめん。自分で言ったけど、やっぱり友達には戻れない』
その言葉を聞いた瞬間、俺の思考は真っ白になった。
俺は熱の残る自分の唇を手で覆うと、その場にへなへなと座り込んだ。
「な、何してんだよ、お前……」
声が震えた。
怒りよりも驚きと、どうしようもない動揺が胸を埋め尽くす。
友達に戻ろうって言われて、恋人だった期間のことを無かったことに出来るって思ったのに、なんでこんなぶっ壊すようなことするんだよ。
隼人は苦しそうに顔を歪めたまま、俺から視線を逸らさなかった。
「……ごめん」
「ごめんで済む問題じゃ、ないだろ!」
俺は強い口調で言った。
こんなの期待してしまう。
また好きになってもいいんじゃないかって勘違いしてしまう。
俺が潤んだ目で睨むと隼人は視線を彷徨わせ、そしてボソリと言った。
「……陽だって、悪い」
「……はぁ?」
俺は耳を疑った。
こいつ、今なんて言った?
「お前、なに人のせいにしてんだよ!」
「だって……人の家で、あんな無防備に寝て……」
「はあ!?」
「名前呼んでも起きないし……そんな隙だらけなのが悪いんだろ」
「……っ、お前は寝てるやつみたら全員にキスすんのかよ……!」

