気まずくて、どうしたらいいか分からない。
俺は俯いたまま、隼人の顔を見ることができなかった。

重苦しい沈黙が続く。
隼人の靴が、カツ、と床を鳴らして近づいてくる気配がした。
俺は身を強張らせて来るべき言葉を待った。

「陽……俺が怖い?」

びくりと肩を揺らす。
でもなにも答えられなかった。

すると隼人は息を吐くように言った。

「そっか……」

なんの「そっか」なんだ?
隼人がなにを聞きたいのかサッパリ分からない。
でもそれを聞くことも出来ない。

どうしてこうなっちまったんだろう。
隼人のこと信じてたのに……。
すると隼人はハッキリと俺に告げた。

「もう、無理かもな……」

心臓がドクンと嫌な音を立てた。
恐る恐る顔を上げると、隼人はどこか虚ろな目で窓の外を見ていた。
怒っているわけでも嘲笑っているわけでもない。
ただ諦めたような顔をしていた。

「別れよう」

時が止まった。
そうやって言われるかもしれないと、分かっていてもその言葉は刃のように心に突き刺さった。

ああ、こんなにもあっけなく終わるもんなのか……。
俺の初恋は遊ばれて終わるんだな。

俺たちの三ヶ月はあっけなく幕を閉じた。