人影がやってきて、中に入ってくる。
その相手を見て俺は目を見開いた。

「えっ……」

息が止まりそうになった。

俺の視界に入ってきたのは、よく知ったアイツだった。

高校時代より少しだけ大人びた横顔。
色素の薄い髪。涼しげな目元も……見間違えるはずがない。

「……教育係を担当する三上隼人(みかみ はやと)です」

なんで。
なんでお前がここにいるんだ……。

『もう、無理かもな……』

高校2年の冬。
あの日告げられた言葉を忘れた日はなかった。

好きだった。
ずっと一緒にいたいと思うくらい大事な恋だったのに。

『別れよう』

その恋は簡単に散っていった。

必死に忘れて、もう会うこともないんだろうなと思っていたのに。

まさかこんなところにいるなんて思わねぇだろ!

相手は俺に視線を向けるが、表情ひとつ変えない。

さ、最悪だ!最悪すぎる……!
バイト先に元カレがいるなんて!