そして、翌日の昼休み。
4限終わりのチャイムが鳴り、俺は購買でパンを買って教室に戻ってきた。

……隼人、メシ食ったかな。
もしまだだったら一緒に食わねぇ?って誘うのもアリだよな。
基本隼人は一緒にいるグループと食べるが、俺が食わないかと誘えば必ず一緒に食べてくれる。

もともと一人で食べようとする性格もあってか、俺と人がいない場所でお昼を食べていても特に何も思われないらしい。

昨日のキスが、まだ唇に残っている気がして恥ずかしいが、誘ってみるか……。

俺はパンを片手に隼人の席へ向かおうとした。
教室の後ろのドアから入ると、窓際にある隼人の席に男子たちが数人集まって人だかりができていた。

どうやらスマホの画面を囲んで盛り上がっているらしい。

「はや……」

声をかけようと近づいたその時だった。

「……で、どうなったんだよ?ついにアレ、落としたのかよ?」

友人の一人が画面を指差しながら隼人に尋ねた。
俺の足が止まる。

……落とした?
隼人はスマホの画面を操作しながら、気のない声で答えた。

「ああ、楽勝だった」