……は?
何人、落とせるか試してる?
いやいやそんなわけねぇだろ!
「女子は楽々だから、次は男もターゲットにしてるって聞いたぜ?」
男……。
それって俺のこと……?
「マジかよ、誰でもいいのかよあいつ……」
「難易度あげないとつまんねぇんじゃねー?」
ゲラゲラという下世話な笑い声が廊下に響く。
そんなわけない。
だって隼人はまっすぐに俺に気持ちを伝えてくれた。
あれがウソだったなんて思えない。
嫌なウワサが回っているだけだ。
俺はそう思ってその場を走り去った。
「信じていいんだよな……」
しかし、心の中にトゲが刺さるようにウワサのことを考えてしまった。
もともと隼人と接点のなかった俺。
居場所も違うし、隼人みたいに人が集まってくるタイプじゃなかった。
それでも隼人は俺を好きだと言った。
隼人は俺のどこが好きなんだ?
どこに魅力を感じてる……?
そんなところ、俺にあるか……?
急に不安になってしまった。

