案外うまくいってるんじゃね?
なんて思うほど俺は浮かれていたと思う。

そんな時、隼人のあるウワサを聞いてしまうことになる。

その日、俺はテニス部の友達と廊下で話していた。

「陽ー、次移動教室だぞ」
「おう、今行く!」

教材を取りに自分の教室へ戻ろうとした時、角を曲がったところにある給湯室の前で、隣のクラスの男子たちがたむろしているのが見えた。

「……それって三上の話し?」

三上?
隼人のことだ……。
どうせまた告白されたとかそういうウワサだろう。
俺の彼氏はモテモテなんだ。

俺も最初こそ、隼人が告白されるたびにヤキモチを焼いていたが、毎回誠実に断っているのを見て大丈夫だと思うようになった。
隼人が好きなのは俺だけだもんなー。
俺は少し鼻を高くして通り過ぎようとした。

「そうそう、ビックリだよね!モテるのは知ってたけどさ」

しかし。
次に聞こえてきた言葉に、俺の足は動かなくなった。

「なんか、何人落とせるか試して記録作ってるらしいぜ」
「はあ? なにそれ」
「モテるからね〜。ただ付き合うだけじゃつまらなくなっちゃったんじゃない?」
「うわ、最低じゃん。ゲーム感覚かよ」

──ドクン。
心臓が嫌な音を立てる。