明日になれば、隼人はまたクラスの中心でみんなに囲まれて、俺はそれを端っこで見るだけのその他大勢に戻る。
廊下ですれ違っても、もう今までみたいに笑い合って会話することもなくなるんだろうな。
いい思い出と言えば、そうなんだろうけど。
「……なんか、終わるって実感すると寂しく感じるな」
なんてこんな感情になるのは俺らしくないか。
ただのクラスメイトに戻るだけなのに。
胸の奥がキュッと締め付けられるような変な感覚。
今まで感じたことのない感情だった。
その時。
「……陽」
薄暗い教室と隼人の真剣な顔を照らし出す。
そんな中、隼人の唇が動いた。
「ずっと伝えようと思ってたんだけど、俺……陽のことが好きだ」
花火の音にかき消されそうな、でも、俺の耳には痛いほどハッキリと届いたその言葉。
俺は、空に咲く火花よりも眩しい隼人の瞳から、目を逸らすことができなかった。
その間にまた大きな花火が打ち上がる。
「なに、言って……」
ああ、それはいい友達としてって意味?
なんて言える言葉はたくさんあったはずなのに、まっすぐに見つめる隼人の顔がすごく真剣で、俺は何も言えなくなってしまった。

