隼人は変装までして逃げてたくらいだし……。
俺がそう伝えると、隼人は遠くを見つめながら言った。
「女子と見るより、陽と見た方が絶対に楽しいよ」
「そ、そうか……?」
なんかそんなことまっすぐ伝えられると照れくさいつーか。
意外と隼人ってストレートに物事伝えてくるんだよなあ。
それがなんかドキドキするつーか……。
イケメンは罪っていう言葉はあながち間違いではないのかもしれない。
「まっ、俺ら頑張ったわけだし……花火をいい席で見る特権はあるわな」
そんなことをいいながら俺たちは花火を待っていた。
すると。
『──それでは、フィナーレの花火です!』
校内放送が響き渡る。
ヒュルルルルと音が聞こえ、俺は顔を上げた。
「あ……」
ドオォォン!!
「……すげぇ」
夜空に大きな花火が咲いた。
赤、青、緑。次々と打ち上がる極彩色の光が、薄暗い教室と俺たちの顔を照らし出す。
「きれいだな……」
俺は光の粒が降り注ぐ夜空を見上げながら、今までのことを考えていた。
文化祭の準備、なんだかんだ楽しかったな……。
これが終わったら、きっと俺たちはまた元いた場所に戻るんだろうな。

