なんかあっという間に終わっちまったな……。
『──まもなく、後夜祭の花火が、グラウンドにて打ち上げられます』
放送が流れる。
そっか……そういや花火で締めるって言ってたな。
「見てく?つっても、男2人だけど」
俺が笑いながら言うと、隼人は俺の腕を掴んだ。
「……こっち」
隼人は、人の流れとは逆方向。
グラウンドから一番遠い、旧校舎の階段を上っていく。
まっ、男2人で見てもしゃーないしそうなるよな。
そんなことを考えながら、隼人が連れてきたのは一番端の誰も使っていない視聴覚室だった。
「……なんでここ?」
中は、埃っぽくて古い機材の匂いがした。
でも、一番奥の窓はグラウンドを真正面から見下ろせる完璧な特等席だった。
「も、もしかして!?」
「そうここから花火が見える」
「すげぇ!よく気づいたな」
「……デザイン画、描いてる時に見つけた」
窓枠に二人で並んで腰掛ける。
遠くでグラウンドのざわめきが聞こえる。
「こんなにいいところ見つけて……俺とで良かったのかよ?もっと可愛い女の子と見た方が良かったんじゃないか?」
当日隼人と過ごしたかった人は多かっただろう。
その証拠にクラスの女子は隼人くんはどこに行った?って探し回ってたしな……。

