「俺も陽と一緒にやれてよかったと思ってる」
「おう!」

なんか照れくさいな。
なんて考えていると、隼人は気まずそうに顔を伏せながら言った。

「最終日の文化祭、一緒に周らないか?」
「えっ、でも……お前友達とか」

「陽と周りたいんだ」

──ドキ。
まっすぐにこちらを見てくる目に居心地の悪さを感じて俺はとっさに逸らした。

「お、おう……!もちろんいいぜ」

懐いてくれなかった犬が懐いてくれた時ってこんな感覚になるのかな?

俺は隼人の言葉が単純に嬉しかった。

そして、文化祭当日。
クラスのモザイクアートはかなりの大盛況であった。

俺は朝から呼び込みをしたり、受付をしたりして忙しかったが、最終日の昼過ぎになり、ようやく自分の時間をもらうことが出来た。

ええっと、隼人のやつ……どこにいるんだ?
あたりをキョロキョロ探していた時。

「……陽」
「うわっ!?」

背後から、不意に声をかけられて飛び上がる。
振り返ると、隼人がいつもの制服姿で立っていた。

「これ、買って来たよ」

そうやって渡してくれたのは、屋台のたこ焼きや焼きそばだった。

「おおお……!お前神!」

隼人は人の気持ちに敏感でよく気づく。
きっと午前中ずっと受付をしていた俺がお腹を空かせてると思って買って来てくれたんだろう。

「いただきます!!」

残った時間は数時間で、俺たちは屋台を回ったり隣のクラスの劇をみたりして過ごした。