伏せられた長いまつ毛や、通った鼻筋がありえない至近距離に迫っていた。

(ち、近っ……!)

心臓が、ドクンと大きく跳ねた。
隼人は俺の動揺なんて気づいていないのか、真剣な眼差して手元を見つめている。
ふわりと、制服の洗剤の匂いが鼻をかすめた。

イケメンっていい匂いもするのかよ……。

「……ここは、こうやって端から押さえないと剥がれる」

「あ……う、うん……」

重なった手から伝わる体温が妙に熱い。
なんか、ドキドキするんですけど!!

イケメンってやつは……女子も男子も関係なくドキドキさせる生き物なのか!?

「陽……どうした?」
「ああ、いや……なんでもないぞ!」

そして文化祭、前日。
最後の色紙が貼り付けられ、ついに巨大なモザイクアートが完成した。

放課後の教室で、クラスのみんなが「おーっ!」と拍手をする。

外枠とかチラシの作成は他のものはみんなにも頑張ってもらったけど、やっぱり隼人の絵のクオリティが高くて、完成度も高く感じた。

みんなが帰っていった後、俺たちはふたりで残ってまじまじとその絵を見ていた。

「……なんか、すげえな」
「……ああ」

「俺、最初ダルいとか思ってたけど。……隼人と一緒にやれて、良かったわ」

俺は、達成感でいっぱいで心の底からそう思った。
すると、隼人は静かに言う。