そうこうしているうちに三上が下絵を完成させた。
「こんな感じ?」
「えっ、すげぇえ!!」
下書きは、目を見張るような風景画になっていた。
「お前これ……!天才だろ!? こんなに絵上手いのかよ」
俺が興奮して言うと、三上は照れくさそうな顔をしながら言った。
「別に大したことじゃ……」
「いや、これは誇るべきだな!」
気まずい空気も忘れて俺はテンションが上がってしまった。
なるほど、絵が上手いから立候補してくれたのか!
「三上がいてよかった〜」
たぶん俺1人だったら、クオリティが低いものが仕上がって終わっていただろう。
「隼人でいいよ」
そこからなんとなく、三上が心を開いてくれたような気がした。
「お、俺も!陽って呼んでくれ」
「うん」
俺がそう伝えた時、嬉しそうに笑う隼人。
イケメンって笑顔も眩しいんだな……。
それから、文化祭までの残りの日々。
俺たちは、少しずつ仲を縮めていった。

