三上は、黙っていても勝手に人が集まってくるようなやつだった。
別に愛想がいいわけじゃないのにあいつの周りにはいつも自然と人の輪ができていた。

「え〜三上くんがやるなら、実行委員立候補すればよかったあ」

「確かに、隼人がやるなら俺たちも手伝うのに」

そんなクラスの中心にいる三上とはほとんど話したことがなかった。

せめて話しやすい人だったらよかったのに……気まずい。
手伝う気があるならそっちでやってくれ(泣)

こうして、デザイン担当の隼人と実行委員の俺の二人きりの居残り作業が始まった。

最初は、めちゃくちゃ会話が弾まなかった。

教室の後ろに広げられた巨大な模造紙に、三上が黙々と鉛筆で下書きを進めていく。

シーンと静まり返った教室の中で、鉛筆を走らせる音だけが響く。
やべぇ……何話したらいいか分かんねぇ。
三上も何考えてるか分からねぇし、これは話しかけない方がいい?
ぐるぐるとそんなことを考えながら俺は必死に会話を探した。

「……三上ってさ、部活とか入ってないの?」
「……入ってない」

「そ、そっか。なんか趣味とかは?」
「……別に」

会話終了。
なんか俺と話したくなさそー。

三上だって、こういう仕事……積極的にやるようなタイプじゃないよな?
なんで手伝うと言い出したのか、謎だ。