震える指で【送信】ボタンをクリックする。
ロード中のくるくる回るアイコンを祈るように見つめること数秒。
画面に【提出完了】の文字が表示された。
時刻は、11時58分。
「おわったぁぁぁ〜〜!」
緊張の糸がプツンと切れて、俺はそのまま後ろに倒れ込んだ。
天井の照明が眩しい。
なんとか提出出来たぜ。
安心したら、急にどっと疲れが押し寄せてきた。
あー……帰りたくねぇ。
このまま寝てしまいたい。
体がカーペットに沈み込んでいくみたいに動かない。
だめだ、隼人にも迷惑かけてるし帰らないと……。
でも隼人を待っている間だけ……。
そっとまぶたを閉じると、俺の意識は、あっという間に闇の中へと落ちていった。
『陽……』
誰かが俺の名前を呼んでいる。
誰、だ……?
夕焼けに染まった教室で、隼人が俺を見て笑っていた。
ああ、隼人か……。
『陽』
名前を呼ばれる声が優しくて、俺は胸がいっぱいになる。
あの日に戻れたらいいのに。
隼人の側は心地よくて、温かくて、大好きだった。

