「……おじゃま、します」
部屋に足を踏み入れると、そこは白とグレーで統一されたおしゃれな空間だった。
ベッドと小さなローテーブル、それにテレビ。
余計なものが一切置いていなくて、同じ大学生の一人暮らしとは思えないくらい整った部屋。
俺の脱ぎ散らかした服が散乱している部屋とは大違いだ。
同じワンルームに住んでんのに、こんなに違うのかよ……。
「……あそこのローテーブル使って。ノートパソコン持ってくるから」
「あ、うん」
俺は、少し緊張しながらもその小さなテーブルの前に正座した。
ほのかに隼人の匂いがする。
落ち着かない気持ちでそわそわしていると、着替えを済ませた隼人がすぐに戻ってきて、銀色の薄いノートパソコンを机に乗せてくれた。
「Wi-Fiのパスワードはこれだから」
「お、おう……サンキュ。マジ助かる」
俺は手を合わせると、すぐにパソコンを起動させてワードを開いた。
時刻は22時を回っている。
今日の24時まであと2時間弱。
(やるしかねぇ……!)
俺は気まずさも忘れ、必死の形相でキーボードを叩き始めた。
カタカタカタ……。
静まり返った部屋に俺のキーボードの音だけが響く。
隼人はいつの間にか部屋にはおらず、その代わりにシャワーの音が聞こえてきた。
あと少し……。
引用の文献をここに入れて……!
「……よし、書けた……!」

