スチームミルクはまだ粗いと怒られるが、だいぶ形にはなってきたと思う。
てきぱきとこなすとなんだか出来たような気がして嬉しくなった。

「広瀬くん、いいかんじだよ!」
「ありがとうございます」

一緒に入った美咲さんにも褒められた!

バイトは楽しいし、ここに決めて良かったって思うんだよな。
ちらりと隼人の方に視線を向ける。

カウンターの向こうで淡々とドリンクを作る隼人の横顔は様になっていた。

かっけぇな……やっぱり。
俺もはやくあのくらい出来るようになる!

その日のシフトは、閉め作業無しの少し早い時間でのあがりだった。

「お先に失礼しまーす」

中にいる人に声をかけて更衣室に向かう。
エプロンを外し、バックヤードに戻ると隼人も俺の後に続いて入ってきた。

「あれ、お前も終わり?」

「うん。今日閉めいっぱいいるからもう上がっていいって」

「そうなのか……」

たわいない話をしながら、俺はスマホをチェックする。
すると篠原からメッセージが来ていた。

【陽、明日まで提出の文学史のレポートどこまで進んだ?今日の12時までだってよ。鬼畜すぎるよな】

れ、レポート!
……忘れてた!
完全に頭から抜け落ちていた。

今から帰って、徹夜すれば……なんとか間に合うかもしれねぇ!
やばい、やばい!
ってか、パソコン持ってきてるよな。