高校生の頃の連絡は水に流せばいい。
何もなかったフリして、隼人とは友達に戻ればいい。
大学もバイト先も同じなら分かり合えることもあるし、また前のように仲良くできる。
俺は大きく息を吐き出すと、強張っていた肩の力を抜いた。
「あー……俺もさ、あの時はちょっといいすぎだつーか?バイト始めたばっかで余裕がなかったんだよなあ」
ガシガシと頭をかきながら言う。
「俺たち普通に友達に戻ろうぜ」
俺が笑顔を作って伝えると、隼人はふっと小さく息を吐いた。
「……よかった」
心の底から安堵するみたいな隼人の表情。
隼人は人たらしだと思う。
のういう表情を無意識で向けてくるんだから。
でも、この関係が今の俺たちにはちょうどいい。
「これからも色々教えてくれよ?」
俺は横目で隼人の横顔を見ながら、これで良かったんだと自分に言い聞かせた。

