バイト先では話せなかった大学の話をしたり、軽くバイトの話をしながら過ごした。
なんだ。
場所もあるのか……大学でなら全然普通に話せる。
高校の時、 付き合う前に文化祭の準備室で二人でダベっていた時みたいだ。
俺はハンバーグを食べながら、ふと心が軽くなるのを感じた。
それから店を出てお礼を告げる。
「ごちそうさま! マジ助かったわ。出世払いして返すわ」
「今日のはいいって」
ふたり並んで大学までの道のりを歩く。
すると、急に隼人が静かになった。
どうしたんだ……?
ちらりと隼人に視線をやると彼が立ち止まる。
「……陽」
そして隼人が静かに口を開いた。
「……友達に戻るのは、できない?」
その言葉に、俺の足が止まる。
「え……」
「……前みたいに、友達に戻るのも無理なのかな。陽と気まずくなるのは寂しい」
隼人の声は、どこか切実で俺の顔色を窺うようだった。
そうだよな……。
俺も思ってた。
さっきみたいに普通に隼人と一緒にいて、前のように友達の距離で話せば楽しいじゃんって。
別に、もともと距離を取る必要なんてなかったんだよな。

