「あっ、隼人……あの」

そこまで言った瞬間、俺の腹がグーっと音を立てた。
隼人が驚いた顔をして振り返る。

「俺の昼飯……」
「えっ」

学食のテーブルの上。
まだ半分以上残っていた俺のカツカレー……。

「う、う“……」

じわ、と目の奥が熱くなった。
取に戻ればいいが、まだあいつらがいるかもしれないし、もう会いたくないしあそこで飯を食いたくない。
でもお腹はペコペコだ。

「うう……」
「……心配するの、それ?」

俺が涙目になっている理由が昼飯だと気づいた瞬間、隼人は、フッと息を漏らした。
そして肩を震わせてる。

「……笑うなよ!貴重だったんだぞ!俺は金欠なんだ!」
「いや……にしても泣くのそこ?」

さっきまでのクールな雰囲気はどこへやら。
隼人は、高校の時みたいに声をあげて笑っていた。

「……陽さ、3限ってなにか授業入ってる?」
「いや?……今日は空きだけど」

「じゃあ、後で残したものは回収するとして……外に食べにいかない?」
「え、でもお前は……?」

「俺、休校になったんだ。昼飯、俺が出すからさ」
「えっ、でも」

助けてもらっておいてそこまでしてもらうわけには……。