そしてバイトの日がやってきた。
あの夜、隼人と別れてから三日が経つ。
今日が二度目のバイトシフトだった。
(行きたくねえ……)
ベッドの上で、亀のように丸くなる。
最後にあんな言葉残されたら、どんな顔していいか分かんねぇもん。
……とはいえ、金欠の事実は変わらない。
俺は「ええい!」と気合を入れて跳ね起きた。
そうだ。元カレがなんだ。
俺は金を稼ぎに来てるんだ!
あいつがどんな態度で来ようと、完璧になんでもない距離を保って仕事を覚えてやる。
そう決意して、俺はバイト先へ向かった。
「おはようございます」
今日は休日だからバイト時間は少し長めだ。
俺は午後からシフトに入っていた。
「……ん」
バックヤードでタイムカードを切る。
すでにエプロンをつけた隼人が、コーヒー豆の入った袋を数えていた。
隼人はもう出勤してたのか。
俺は急いでエプロンを付けて店長の元に向かった。
「広瀬くん。今日はレジ教えてもらってね?」
「はいっ!」
今日は店長もいるみたいだけど、シフト作りがあるとかで、すぐに奥の個室に行ってしまった。
バックヤードで隼人ふたりきりになり、練習用のレジの前に俺が立つ。

