「お前またそれ食ってんのか?好きだなぁ~」
けらけらと笑う篠原。
好きで食ってるんじゃねぇつーの!
「そういやお前、バイト初日はどうだった?」
「げっ」
一番聞かれたくない質問だった。
俺はカレーの福神漬けを、スプーンで無意味にいじる。
「どうだったって……まあ、普通?」
「普通ってなんだよ。可愛ことかいた?」
「……いや、まだ全員と挨拶したわけじゃないから」
(まぁ……元カレはいたけどな!)
なんて口が裂けても言えるわけがない。
そもそも、俺が男と付き合ってたこと自体、こいつには話していない。
「……なんか、すげー覚えること多くて大変だったわ」
「あー、最初はそんなもんだって。すぐに慣れると思うぜ」
早く慣れてひとりだちせねば……!
じゃないと隼人がマンツーマンで教えてきて……また昨日みたいにドキマギするのはごめんだからな!

