そんなある時。
「三上くーん。新人さん、連れてきたよー」
アルバイト中、ストックルームの奥で在庫の整理をしていると店長に呼び出された。
そういえば、今日から入る新しいバイトの教育係を任されていたな。
俺は作業の手を止め、短く返事をした。
バイトをはじめて結構な時間が経った。
最近は、新人教育を任されることが多く、人と関わるのはあまり好きではないけれど、この仕事は嫌いではない。
自分の教えた仕事で周りの人が成長していく様子を見るのが案外好きだった。
ストックルームを出て、店長たちがいるバックヤードへと足を向ける。
ドアをくぐり、いつものように中に入る。
するとそこには店長と、緊張した面持ちで立っている新しいバイトの姿があった。
なにげなく視線を向けた瞬間。
「……っ」
その顔を見た瞬間、心臓がドキっと音を立てた。
なん、で……。
どうしてここに……。
そこに立っていたのは、俺がずっと忘れられずにいた陽だった。
陽だ……陽がここにいる。

