夕焼けが差し込む、誰もいない視聴覚室。
あの文化祭の日、二人でこっそり抜け出して隣に座る隼人が、俺の名前を呼んだ。

『……なあ、陽』
『ん?』

振り向くと、あいつが照れくさそうにでも真っ直ぐな目で笑う。

心臓がドクンと跳ねた。

『好き』

──ピピピピピ。

「ん……」

鳴り響くアラームを手探りで止め、俺はガバッと起き上がった。

なんで、あの時の夢なんか……!

きっと昨日隼人にあったせいだ。
リアルな夢にドギマギしながらも、俺は大学に行く準備をしていた。

重い足取りで大学に向かい、一限の講義をぼんやりと聞いてやり過ごす。

そういや、隼人も同じ大学だって言ってたな。
キョロキョロと周りを見てみるが、隼人はいない。

案外合わないもんだな…… 学部が違うってだけで。

昼休み。
騒がしい学食の中、俺は昨日と同じカツカレーをトレイに乗せていた。

「お、陽。お疲れー」

目の前の席に、篠原が刺身定食を置いてドカッと座った。

またいいの食ってる……。
昨日は給料日だったから奮発してたんじゃねぇのか。

金欠の敵め!