バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?


隼人は優しく大きな手が俺の頭を撫でてくれる。

「……そっか」
「俺の口からちゃんと言わないとダメだと思って……」

「うん」
「勝手に言ってごめん」

俺が静かに伝えると、隼人は顔をあげた。

「陽は本当に……素直でピュアすぎるね」
「はあ!? なんだよそれ!」

「だって、わざわざそんなこと服部さんに伝えるなんて」
「だ、だって……協力するとか言って陰で付き合ってんのは不誠実だろ!」

俺の言葉に隼人はくすりと笑った。

「普通はみんな適当に誤魔化したりするもんだよ。それに服部さんは陽よりよっぽど策士だと思うし」

う“……。
やっぱりそれ、隼人も気づいてたのか……。

「でもそういう陽が好き。陽はきっと誰にでも誠実でいてくれるんだと思う」

誰にでも、誠実か……。
隼人の言葉は優しいけれど、俺はとっさに首を横に振った。

「……違う」
「え?」

「誰にでも、じゃねぇよ」

俺は隼人の服をギュッと握りしめて、真っ直ぐに見つめ返した。

「俺が誠実でいたいのは……隼人だからだ」
「陽……」