バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?


「なんか……会いたくなった。気づいたら走ってて……」

やべぇ、言うのめっちゃ恥ずかしい。
これ以上はもう言わないでおこう。
そう思ったが、時すでに遅く次の瞬間、俺の身体が浮くくらい強く抱きしめ返された。

「……っ、痛ぇよ隼人」
「……ずるい」

耳元で低い声がくぐもる。
隼人は俺の肩口に顔を埋めたまま、ため息をつくように言った。

「急に来てそんなかわいいこと言うなんて……反則だろ」
「は、隼人……?」

「俺だって会いたかった。……迷惑になると思って我慢してたのに」

腕の力が強まる。
俺が会いたいと思っていた時、隼人も同じことを思っていてくれたんだ。

愛おしさで胸がいっぱいになる。

「……なぁ、隼人。聞いてほしいことがあるんだ」
「……なに?」
俺はこの温もりに甘えるように、身を預けたまま口を開いた。

「……俺、勝手に言っちゃった」
「え?」

俺は顔を埋めたまま、早口で告げた。

「服部さんに……俺、協力するって言っちまったんだ。隼人とくっつくように。だからそれ……協力できないって謝ってきた。俺が隼人のことが好きだからって」