バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?


可愛らしいリボンでラッピングされた小さな包み。
誰がどう見ても、ただのお礼ではない。
俺は思わず息を呑んだ。

服部さんが隼人のことを気になっているのは知っていた。
休憩中に好きな食べ物を聞かれたり、目で追っていたりしたから。
でも、まさかこんなタイミングで遭遇してしまうなんて。

受け取って欲しくない。
でも俺にそれを止める権利なんかない。

ぎゅっと唇を噛みしめた時、隼人は静かに首を横に振った。

「……ごめん。受け取れない」
「えっ……あ、あの、お礼なので……」

「お礼は大丈夫。仕事でやってるだけだから」
「でもせっかく三上さんのために作ったので……!」

「……俺、大事にしたい人がいるんだ」
「……え」

駅前の雑踏の音が一瞬遠のいた気がした。
隼人はまっすぐに服部さんを見て、ハッキリと告げた。

「その子に勘違いされたくないから、手作りとか受け取れない。ごめん」
「…………」

服部さんの顔がみるみる赤くなり、大きな瞳にじわりと涙が溜まっていくのが見えた。

「あ……す、すみません……っ! 私……」
「服部さん……」