公園を出ると、俺たちは少しだけ距離を空けて駅への道を歩き出した。
隣を歩く隼人の横顔を盗み見る。
どこか楽しそうで、そんなアイツを見ていると俺も嬉しくなる。
その時だった。
「あ……三上さん!?」
駅前のロータリーに差し掛かったところで、よく知った声に呼び止められた。
「……え」
振り返ると、そこにはバイトの後輩である服部さんが立っていた。
「あっ、広瀬さんもいたんですね!」
服部さんは、私服姿で手には小さな紙袋を持っている。
「こんばんは!ちょうど良かった……!今バイト先に行ってきたんです。三上さんいないかなって」
隼人に用事?
さっきまで満たされていた心が一瞬にしてモヤモヤに変わってしまう。
嫌だな……。
すると服部さんは、持っていた紙袋を隼人に差し出した。
「あの、三上さん。これ……!」
「……なに?」
「バイトの時たくさん教えてもらったお礼です。家で作ったクッキーなんですけど……よかったら、受け取ってください!」

